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天狗、山うど、としこさん。~第1話~


山うどを料理している時に決まって思い出すのは、“としこさん”のことだ。

春夏秋冬、全ての季節を一緒に過ごしたが、何故か春になると、強く思い出す。
今は遠くへ行ってしまい、会うことは出来ないけれど、夜の温泉で交わした会話や、彼女の笑い声、あの頃の景色は、今もずっと私の中に色濃く残っている。

彼女に会えなくなってから、私は彼女との日々を忘れないように、写真に残すことにした。

大きな花を咲かせた一輪の百合の花を持って、私はかつて過ごしたあの町へ降り立った。
数年ぶりのあの町は、よそ行きの顔で、私を迎え入れた。
当時はバスで向かっていたあの道を、ゆっくりと歩き出す。

よく通ったスーパーの脇の道から住宅地を抜けると、線路が見え、緑が広がる。鞄の中には、カメラと、財布と、天狗のお面。
三脚を立て、タイマーでシャッターを押す。

そして、懐かしの景色の中に、天狗のお面を付けた私と私の気持ちを、そっと閉じ込めた。

2014.02.21 | | ・日々のこと

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